「142857の怪」は素数の問題だったが、その素数も含む「有理数」には分数も含んでいある。ピタゴラスが正方形の辺の長さから対角線の長さをを求めようとして分数での算出を試みたけれども結局できなかった。今では「無理数」として扱われている。
√2=「1.41421356・・(ひとよひとよにひとみごろ・・)」だ。
永遠に続くが循環はしない。
数学的に「無理数」が確立したのはピタゴラスから2千数百年も後の19世紀になってだ。しかし、自然は「無理数」に満ちていて、天文・暦法の世界では常にそこにぶち当たっていた。
年・月・日とは簡便に表現すれば:
「年」は地球が太陽の周りを一周する時間(公転周期)
「月」は地球の衛星(月)が地球の周りを一周する時間(月の公転周期)・・元々の概念
「日」は地球がくるくる回る、その1回廻る時間(地球の自転周期)
なのだが、これら無関係な天文現象の相関は「無理数」でのみ表すことできるのだろう。これを
「有理数」で説明するものが暦法{こよみ}だといえる。
「有理数」で表すから便宜的なものだ。だから、洋の東西を問わず、暦法は時代とともに改革を余儀なくされる。
1年が{365.24・・・}日ということは、大昔からエジプトでもギリシャでも中国でも南米の「マヤ」でも
気の遠くなるような長い観察から知っていた。問題は、その{365.24・・・}の・・・の数値をよりより多く
探ることと、どのように「有理数」で表すかの問題であった。
月の運行を基とする太陰暦もある。太陽を基とする太陽暦もある。それぞれの国家・王朝でまちまちだった。
汎地中海大帝国を築き上げた、ユリウス・カエサル(英語:シーザー)が改暦・普及させた「ユリウス暦」もその一つだがこちらは広く世界に普及した。紀元前50年ごろだ。
「ユリウス暦」は一年を有理数{365.25}日としていた。
この末尾の{0.25}を実現する為に、4年に一回、日付を調整した。
{0.25}日x4回=1日・・・4年に一日を増やした。閏日だ。今では2月29日だ。
ユリウス暦は長く続いた。1500年以上ヨーロッパで使われ続けた。しかし、その長い年月の間に{365.24・・・}の下の・・・が問題となってきた。太陽の運行とあわなくなったのだ。
365.2425日 これが今使われている一年だ。
当時のローマ法王「グレゴリオ13世」が唱えた「暦法」の一年である。1582年のことだ。
カエサルの改暦いらい1500年余が過ぎ末尾の「・・・」によるズレが顕著になり、旧に整合させる為の「改暦」だった。
そしてそのズレた分の日にちを「抹殺」したのだ。
「10月4日の翌日は10月15日とする」と。
1582年10月5~14日はなくなった。可哀相な10日間だ。
グレゴリオ暦では:4で割れる年は「閏年」
但し、100で割れれば「閏年ではない」
但し,400で割れれば「閏年」
となって365.2425日となる。
我々が経験した西暦「2000年」は上記条件の全てを満たしていた稀な「年」であった。
天文学的(現実)には一年は365.242216・・なので、グレゴリオ暦でも数千年たつと1日のずれが
生ずるらしい。
参考:「時と暦」青木信仰著