技術説明巻頭

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■当研究所の技術開発が生み出した「マゼラン4世」テレシネ機は「チラツキ」と「二重撮り」を徹底的に排除し、8mmフィルムに撮影された一コマ一コマを正確にテレビジョン信号のフレームに変換するフレーム・バイ方式となっております。
光学系には光量の増減に追従性の良い(ダイナミックレンジが高い)空中像(エリアルイメージ)方式を採用し、受光側には周期的微振動を補う高速シャッターと色再現に優れた3CCDを備えた変換システムとなっております。その構成は以下のようです:
テレシネのフロー
内容:
■フィルムの投影法
■フィルムとテレビのコマ数差の処理法
■キャプチャーと編集とオーサリング
■サウンド・フィルムの音声処理

光学的なフィルム動画を電気的映像信号に変換することを「テレシネ:TELECINE」といいます。テレシネは「二つの大きな要素」と「いくいつかの補助的な要素」で構成されています。 「二つの大きな要素」とは「フィルムの投影法」「フィルムとテレビのコマ数違いの処理」です。

■フィルムの投影法の分類しますと:
①家庭で8mm映像を鑑賞するようにスクリーンや壁に結像し、あるいは②テレシネBOXなどの名称のスリガラスに結像してその像を撮影する「スクリーン・プロセス法」
③直接フィルムを覗き込む直接スキャン方式、あるいは④一旦、像を拡大してからスキャンする空中像方式などの「ノンスクリーン・プロセス法」に大別できます。

「スクリーン・プロセス法」は特に難しい機材や技術が必要なく、動く映写機とビデオカメラがあればご家庭でも実施可能です。しかし、スクリーンやスリガラス上の結像を利用するため、歪み・汚れ・反射素材の粗さなどの影響のほか、反射や透過光が弱いため(光源が100w以上必要)綺麗な変換は期待できません。

一方、「ノンスクリーン・プロセス法」は、フィルムからの投射光(像)を直接取り込むため(光源は1~10w)、明るくて歪みの少ない綺麗な映像を期待できます。

以下に各方式の原理・長所・短所を纏めております。

投影法 スクリーン・プロセス法 ノンスクリーン・プロセス法
方式 ①スクリーンや壁に投影 ②投影箱(スリガラス)に投影 ③直接スキャン方式 ④エリアル・イメージ
(空中像)方式
原理 スクリーンや壁に映写して
反射像を撮影する
スリガラスに投影して
透過像光を撮影する
フィルムを顕微鏡で撮影する フィルムの拡大結像を撮影する
長所 能率の良い作業が可能。

能率の良い作業が可能。

映写機のレンズを利用しないので
レンズ汚れ・カビ等の問題が無い
色抜けに優れ、フォーカスが4辺隅々まであう。
短所 色抜けが悪い 周辺減光が起きやすい
常速変換時の振動による像のブレ
コンデンサ・レンズによる色収差

③の「直接スキャン方式」は古い映写レンズを使用しない長所に対し、顕微鏡的(クローズアップレンズ的な)な問題点を伴います。特に「ケラレ」現象に類似した「周辺減光」と、像を拡大しない故の「ゆれ」の拡大に対策が必須用件となります。

④の「空中像方式」はコンデンサレンズの色収差が問題となります。色収差はレンズには付き物の問題で、どの方式でも多少の差こそあれ残ります。収差を減じたアクロマートレンズやアポクロマートでも完全になくすことはできません。更に、フィルム撮影時のカメラのレンズがすでに色収差を有していることから、撮影されたフィルム映像自体が色収差をおこしています。よって色収差は程度問題と考える必要があります。

当社は「直接スキャン方式」と「空中像方式」の両者を比較・実験した結果として、映画界のフィルムコピーや字幕挿入・特撮などで過去に実績豊富な④空中像方式を採用しております。複雑な光軸調整は計8次元の光学ステージを使用してベストな環境を保っています。

■フィルムとテレビのコマ数違いの処理法:

フィルムの映写機は毎秒18コマ(レギュラーは16コマ)を映写し1コマあたり3回の点滅をさせていますから点滅回数は54回となります。一方、テレビのフレームレートは毎秒30フレーム(NTSC:厳密には29.97フレーム:インタレースでは倍)です。
・・・・両者のコマ数の差(ビート周波数)30x2-(18x3)=6回/秒がフリッカー(画面のチラツキ:点滅)現象として現れます。・・・・
この問題を解決する方式として主なものは:
⑤映写速度を変える(30x2-(?x3)=0 →→ ?=20回転とする。か、 ⑥羽の枚数を変える。3枚羽を5枚羽に変更する。18コマx5=90は30の倍数なのでフリッカーは出ない。この2つの方式はフィルム側と撮影側は 無関係な「非連動(非同期)式」な方式です。他方:
映写側と撮影側を連動させてフリッカを出さない「同期式変換(フレームバイフレーム)式」としては、⑦ 映写側に同期して撮影する方式と、⑧撮影側に同期して映写側を駆動させるに2方式が考えられます。

以下に各方式の内容を一覧します:

フィルムとテレビのコマ数違いの処理法
方式 非連動(非同期)式変換 同期式変換(フレーム・バイ・フレーム)式
⑤速度調整式(20コマ/秒) ⑥5枚羽根方式 ⑦映写側先導式 ⑧撮影側先導式
チラツキ 多少残る 多少残る なし なし
二重写し 有る 有る なし なし
音声処理 同時可 同時可 別途キャプチャ? 同時可

当社は長い研究開発の成果として現在⑧撮影側先導式フレーム・バイ変換を開発し、「Magellan IV世」号として実用化しております。 /

{・以下、シングルとスーパーの18コマ/秒での説明・} 18コマを30コマに1:1で変換すると時間は単純に18/30、すなわち30分の映像が18分になってしまいます。正確に 変換するには、その比3:5(フィルムの3コマをテレビジョンの5コマ)に割り振る必要があります。
・シンクロ・ラン方式ではフィルムの3コマをA・B・Cとするとテレビジョン上の5コマでA・A・B・B・C(2:2:1プルダウン方式)の ように割り振ります。 これは、コマ単位で変換した場合のみ可能となる方式で、フィルム(投影側)とテレビジョン(撮影側)を同期させる必要が あります。当社の開発したシンクロラン方式のテレシネが対応している方式です。
もちろんコマ単位の変換ですので再生速度も正確に18コマ/秒となります。
・従来型の非同期方式ですと、投影側と撮影側が非同期に動くため、変換画像(フレーム)に多くの「二重撮り」フレームが 発生し、画像が不明瞭になるだけでなく、チラツキが発生したり、又、再生速度も不安定となります。
{・以下、シングルとスーパーの18コマ/秒での説明・} 18コマを30コマに1:1で変換すると時間は単純に18/30、すなわち30分の映像が18分になってしまいます。正確に 変換するには、その比3:5(フィルムの3コマをテレビジョンの5コマ)に割り振る必要があります。 ・シンクロラン方式ではフィルムの3コマをA・B・Cとするとテレビジョン上の5コマでA・A・B・B・C(2:2:1プルダウン方式)の ように割り振ります。 これは、コマ単位で変換した場合のみ可能となる方式で、フィルム(投影側)とテレビジョン(撮影側)を同期させる必要が あります。当社の開発したシンクロラン方式のテレシネが対応している方式です。 もちろんコマ単位の変換ですので再生速度も正確に18コマ/秒となります。 ・従来型の非同期方式ですと、投影側と撮影側が非同期に動くため、変換画像(フレーム)に多くの「二重撮り」フレームが 発生し、画像が不明瞭になるだけでなく、チラツキが発生したり、又、再生速度も不安定となります。


シンクロラン模式図

■監視卓

同期波形

■キャプチャーと編集とオーサリング

「DVDに変換する」とは「DVD-Vide形式」にすることです。市販のDVDコンテンツ(映画など)はこの形式で作成されており、一般のDVDレコーダーなどで再生可能なフォーマットです。
「DVD-Video」規格は映像がmpeg2圧縮で音声はPCM(無圧縮)かドルービーデジタル圧縮です。(例外も規定されていますが、汎用性は乏しい)
テレシネ作業ではフィルムから「DVD-Video」に変換していくまでに3段の工程を経ます。①キャプチャー②編集③オーサリングです。

①キャプチャ工程 フィルム映像をデジタル信号に変換して、それをコンピュータに取り込む工程
  編集やオーサリングを見込んで無圧縮か低圧縮(フレーム内圧縮)が適。(当社:CanopsHQ←放送局などで使用)
②編集工程 不要な映像をカットしたり、色調を調整したり、BGMや映写機擬音を付加したりする工程
  色相調整・フィルムの先頭・巻末のブラック部カット・映写機擬音は無料対応。ご希望により他の対応も可能
③オーサリング工程 最適なビットレートの映像に変換、映像・音声・字幕などの多重化、メニュー画面の生成
  DVD収録時間に合わせたビットレートを採用。ご希望によりその他の対応も可能

この3段の工程を経ず、ダイレクト変換と称して、いきなりDVDに焼き付ける業者もあります。当然、データ変換(納品)や音声調整・ビートレートの最適化(こちら参照)などは難しくなります。

■サウンド・フィルムの音声処理

サウンド・フィルムには音声収録用の磁気帯がフィルムの左右辺に塗布されています。送り穴(パーフォレーション)側が第一トラック、反対側を第二トラック(バランストラック)と云います。元来、第一トラックのみを使用して第二トラックは厚み調整(バランス)の為としておりましたが、やがて空いていた第二トラックも使用して、ステレオ録音や、アフレコで音声やBGMを収録するようになっています。当社の変換実績ではサウンド・フィルムの内の10%程度の方が、第二トラックにも収音しております。但し、有意な録音は少なく、実験レベルのものが多いようです(当時は映写機で自由に調整できた為)。
一方、現在のTVは左右スピーカーの音声バランスを調整出来ないものが多く、又左右混合も出来ません。結果、DVDへの変換時にその処理法を決定しなければなりません。当社の変換では第一・第二トラックを個別にキャプチャーしますので、その処理は任意(下記)に決められます。

・第一トラックのみに録音の場合 TVの左右スピーカから出力するように調整  
     
・第一/第二両トラックに録音の場合 注文者に録音内容を紹介(忘れていらっしゃるでしょうから)して以下から選択する。  
  第一トラックのみを左右スピーカから出音する。  
  第一トラックと第二トラックをミックスして左右スピーカから出音する  
  第一トラックを左スピーカーから、第二トラックを右スピーカーから出音する  
  上記第一トラックと第二トラックの処理を逆にしたパターンも可能です。